ドラキュラ公開記念日ということで [その他]
今日は『吸血鬼ドラキュラ』の公開記念日なんだそうで。こんなツイートが流れてきて知りました。
+++ On this day the 8th of May 1958 @hammerfilms production of #Dracula was released+++ #ChristopherLee #PeterCushing pic.twitter.com/mT23EEGHj7
— WhitbyDraculaSociety (@WhitbyDracula) 2015, 5月 8
8th May, 1958: a humble Hammer production was released, about a vampire in Eastern Europe. RT if you know the name... pic.twitter.com/UdCLSLwRXx
? Hammer (@hammerfilms) 2015, 5月 8
個人的にドラキュラシリーズで見返すのは、カッシング丈の老け具合が好みな『ドラキュラ'72』『新ドラキュラ 悪魔の儀式』が圧倒的なんです。(^^;)なので案外一本目を掘り出すことは少ないんですが、記念日なら!ということで今夜はこれにします。金曜日はホラーナイト、お持ちの方はいかがですかー♪(なんなら今からレンタル屋に走っても)
カッシング丈的には、クライマックスの体操選手並みの身のこなしなんかも貴重なショットですよね(ご本人だとしたら)。今夜は堪能します
Tales from the Crypt (1972) [DVDレビュー]
久しぶりの更新です。祝ハロウィーン!ということで、正統派(?)ホラーを。アミカス・プロダクションのオムニバスものの一つ"Tales from the Crypt"、VHSの邦題は『魔界からの招待状』です。(残念ながら日本ではDVDになっていませんね。最後にYoutubeに上がっているものを貼らせていただきますが、ぜひぜひ字幕付きソフト出していただきたいです~!)
ソフトがUKのアマゾンにしかないようなので、リンクはそちらです。ジャケット写真があんまりなのでテキストにしておきます。(笑) Tales from the Crypt (1972) 代わりに麗しいカッシング丈のキャプチャ画像をどうぞ。
ピーター・カッシングはこの中の"Poetic Justice"というエピソードに出演しています。主役ではありませんが、カッシング丈の演技がとにかく素晴らしいです!というわけでエピソード全体のラストは伏せますが、カッシング丈の出番についてはほぼ最後まで書いてしまいますので、ご了承下さいませ。
役は「妻を亡くした貧しい老人」アーサー・グリムズダイク。実生活で奥さまを亡くした経験を生かした形で掘り下げ、元の脚本にはなかったディテールが加えられました。ご本人は、役についてこう語っています。
「このグリムズダイクという目立たない男は、この世での妻という実体を失って、どう生きたらいいかわからなくなっている。そして妻の霊とつながろうとする。この役の行動原理はそれがすべてだ。これは監督と私のなかに共通してあったもので、役とのこういうつながりが、このキャラクターを成功させた一因だと思う。私には彼がどう感じたかわかるんだ」
("Peter Cushing: The Gentle Man of Horror and His 91 Films"より拙訳)
1973年に、フランスのファンタジー映画祭(French Convention of Fantasy Cinema)で上映され、この役でLicorne d'Or Awardという賞の最優秀男優賞を贈られています。ご本人は自伝で、「(監督との共同の工夫で)この賞を受けたと申し上げることを誇りに思う」と書いています。授賞式ではフランス語でスピーチをし、感極まって涙を見せたとのことです。
グリムズダイクは心優しい老人で、犬や近所の子供たちとの交流を心の支えにしています。しかし裕福な若者が陰湿な嫌がらせで子供らを遠ざけ、犬も取り上げ、独りぼっちにさせます。さらにひどいこともします。老人はそれに耐え切れず、自殺してしまいます。若者はまさか死んでしまうとは思わなかったようですが、老人が死んだ一年後の日、老人が墓からよみがえり、若者はしかるべき報いを受けることになります――。
(鉛筆描きで力尽きましたが(^^;)、画面的にも印象的な墓場のシーン)
タイトルのPoetic Justiceは、「因果応報」「勧善懲悪」といった意味。このオムニバスそのものが、まさになにか後ろめたいところのある人たちが思い知らされる、後悔してももう遅い――という内容ばかりです。
…それにしても、この一編は着地点が多少はずれた感があります。あの老人が、ああいった形で復讐するとは思えなくて。第一、あの嫌がらせを誰がしたかは知らずに死んだはず……。だから復讐というより「人知の及ばない力が裁きを下した」、という感じがします。神様だかなんだか分からないけれど、その力がグリムズダイクの体を使って容赦ない裁きを下したと。(一年経ってあれだけ原型とどめているのもすごいけれど、まあ人外の力の作用ということで(笑))
たぶん元の脚本の見せ場はショッキングなラストで(ここは伏せます(^^;))、「意地悪な若者が残酷な報いを受けた怖い話」なんだと思います。…しかしカッシングの演技があまりに素晴らしいばっかりに(笑)、「いじめ殺されたかわいそうな老人の話」の前に、メインの話がかすんでしまった気がします。(色眼鏡?(笑))これは皮肉な意味では失敗とも言えますね(笑)。でも、グリムズダイク老人の鬼気迫る哀れさがそれを気にさせない仕上がりであります。
元のスクリプトでのこの役については、自伝と別のインタビューで言われてることがちょっとちがうんですが(記憶違いもあるんでしょうね)……自伝のほうでは「台詞は全部独り言」、インタビューでは「台詞さえなかった」とあります。どちらにせよすごく小さな役だったんですね。自伝では、最終的にできたものは「実質的にすべてアドリブだった」と書かれています。
最初はこの役ではなく、次のエピソードWish You Were Hereの夫役のオファーで、カッシング自身が希望して変えてもらったそうです。改善されたこの老人役は、完全に主役を食ってしまいました。一人暮らしで、先立った妻の写真と向かい合って食事をして、夜中にウィジャボードで妻の霊と交信(少なくとも本人はそう信じている)します。こう書くとすごくエキセントリックなんですが、昼間の顔、特に子供たちに見せている顔はまったくの「やさしくて愉快なおじいさん」。仕事であるゴミ収集で拾ったおもちゃを直して子供たちにプレゼントしたりするので、彼を慕って毎日近所の子供たちが遊びに来ています。実生活ではお子さんなはなかったカッシング丈ですが、子供たちと遊ぶシーンのほほえましいこと…。見ていて和んでしまいます。
それでも一瞬、ストーリーとは関係なく、ある意味で鳥肌が立つところがありました。それは、子供に奥さんの写真を何気なく見せるところ。さりげなくこう言います。
「妻の名前はヘレン。メアリー・ヘレン・グリムズダイク。いつもヘレンと呼んでたんだ。いい名前だろう?」
"My wife's name was Helen. Mary Helen Grimsdyke. I always called her Helen. It's a nice name, isn't it?"
…言うまでもなく、「ヘレン」は実生活で先立たれた奥様の名前ですよね。しかも「実質的に全部アドリブ」って……。(涙)
カッシング丈が「この役なら感情移入できる」と希望した、というのがもう、たまらなくて。そして、こんなオムニバス・ホラーなんて「B級」で片づけられる映画で、心から感情移入した演技をしていたなんて。『ブラッディ ドクター・ローレンスの悲劇』もそうなんですが、この方は奥さんが亡くなったあと、よくこういうことをしていますよね。ある意味セラピー代わりなのかもしれませんが……。でも一方で、あくまでプロだという側面も感じるんです。現に、この作品では(『ブラッディ…』のときと違って)ヘレンさんの写真を使わなかったのは、「ミスキャスト」だったからだと自伝で書いておられます。単に公私混同しているわけではもちろんないんですよね。
台詞に頼らない小道具での表現もいろいろ工夫があります。グリムズダイクが奥さんの写真の前にしょぼい野の花を、それも花瓶じゃなくて、なにかの空き瓶で供えているところなど…キャラクターが貧乏なことや、それにも関わらずこういう心遣いをかかさないこと、奥さんへの思いの強さなども伝わってきます。これがあとのシーンでは、枯れた花で時間経過を表したりもしています。
自伝には老人が首を吊った後にカメラがパンダウンする、と書いてあるんですが、本編ではパンダウンはなく、(妻の写真は映るものの)すぐ葬式のシーンにつながってます。カットされちゃったんでしょうか。でも、読んでいてすごくイメージの豊かなシーンなので、ご自身がそのシーンについて描写した文章を引用させていただきます。
「グリムズダイクが首を吊ったところで、フレディーは静かに揺れている私の体から床へとカメラをパンダウンさせた。しおれた小さな花束が、痛々しい花輪のように落ちている。周りには彼の愛する妻の写真(を入れていた写真立て)の割れたガラス。これらは彼が死んだときに、彼の手から落ちたのだ」
(自伝合本"PeternCushing: An Autobiography and Past Forgetting"より拙訳)
ほんとに、この方の名演技ゆえにストーリーとしてはバランスが破綻しているとは思うんですが(^^;)、この演技を堪能するだけで価値のあるエピソードです。
"...His 91 Films" に載ってる犬とのツーショット写真もすごくかわいいです♪ こういう動物がらみも、カッシング自身のゾンビメイクも珍しい。そういう意味でも貴重な一本だと思います。
"Poetic Justice"は32分頃から。
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101回目のバースデー!+カッシング丈の愉快な未放送インタビュー音源(1986) [その他]
Richard Edwards: "Peter Cushing Centenary: 1986 Radio Interview with Previously Unbroadcast Material".l
音源のほうはところどころしか聞き取れないのですが.、紹介文から垣間見えるカッシング丈があまりにラブリーでワシづかまれてしまいました!ヘタクソですが、一部を訳してみます。(ツボに入ったのは「歯医者の予約をキャンセル」です(笑))
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1986年、私はあの素晴らしきピーター・カッシングのインタビューを、彼の秘書の家で録音するという幸運に恵まれた。ピーターのエージェントは、彼はだいたい40分くらいインタビューに応じてくれるかもしれない、と言っていた。それが一時間以上録音したのだから、彼は楽しかったのに違いない。彼は歯医者の予約をキャンセルしてまで続けてくれた。
これはインタビューからの短いクリップだ。中にはこれまで放送されたことがない、フランキー・ハワードやノエル・カワードの物まねも入っている。
彼は舞台、テレビ、銀幕で素晴らしい俳優であっただけでなく、どこまでも愛らしい人だった。彼はとても気前よく時間を割いて、心のこもったもてなしをしてくれた。ファンや仕事仲間に慕われたのはなんの不思議もない。私たちが敷地内の私道を降りていくとき、あの数々のホラー映画に出演したスターは、玄関の前に立って手を振ってくれた。
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楽しくなっちゃったから歯医者さんキャンセルしちゃったというのがなんかたまらなくて(笑)。…実際聞いてみると、特に後半盛り上がってるご様子が伺えます。
いちおうここにも埋め込みますが、Youtubeのほうだと画面の右下のアイコンに「字幕(キャプション)」てのがあります。自動字幕起こしだそうで。(すごい、こんなのあるんだ!)完全ではないかもしれませんが、音声よりはるかに追いやすくなると思います。(まだ最後まで読めてないので、要約ができずすみません…こんな機能があるの、今ポストする直前に気がついたので(^^;))
…Youtubeについてるコメントではユーモアのセンスが好き、と書かれていて、「彼飲んでたの?」なんてのもあるくらいです。大笑いしてるカッシング丈…?映画と素のイメージほんとに違いますよね~そんなとこもヤラレます♪(笑)再生回数が案外少ないのでもったいないなーと思い、ご紹介させて頂きました。短いのでよかったらぜひ♪
Peter Cushing Centenary - Radio Interview 1986 (Youtube)
『ゾンビ襲来』(1973) [DVDレビュー]
Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema:?A Filmography of Their 22 Collaborations より。この写真を見て以来気になってました
ピーター・カッシング出演ラジオ音源 [その他]
えっと、タイトル通りです。記事じゃないんですが、今サイトを見たらあと四日と表示されてるので取り急ぎポストです。(2013/6/3追記・配信期間が終わったら記事ごと削除するつもりだったんですが、配信終了後もページ自体は残って写真と解説が見られるようなので、いちおう記録として残しておきます)
BBC Radio 4 Extra: Sounds Natural - Peter Cushing
とりあえず保存だけして冒頭しか聞けてないのですが、最初シャーロック・ホームズのしゃべり方をしてくれてます♪サイトの写真も素敵♪(番組自体が始まるまでにちょっと別のアレコレが入ります)
ラジオ音源の保存、すでにいろいろお使いかと思いますが、BBCラジオの音源保存に便利なフリーソフト、Radio Downloaderというのを以前ご紹介したので、そちらの記事にリンク貼っておきます。(今回もこれで保存しました☆)よかったらどぞ!(2013/9/1追記・Radio Downloaderは仕様変更により、BBC番組の保存ができなくなりました。BBCが今後過去の番組の配信サービスを始める計画があるとかで、その関係だそうです)