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『残酷の沼』(1967) [DVDレビュー]

残酷の沼 [DVD]

(今回もリアルタイム記事です。というか、2010年の過去の記事はほぼ使い切ったので、それ以前まで遡るかどうか思案中です…でも、また来月あたりニューリリースがあったりするんですよね♪それはまた別の話…)

ピーター・カッシングのフィルモグラフィーにあった作品ですが、ご縁がなくて見られなかったもの。最近再入会したレンタル屋さんにあったので借りてきました。アミカス・プロダクション制作のオムニバス・ホラーです。監督はビジュアル重視のフレディ・フランシス。原作・脚本は『サイコ』ロバート・ブロックです。

アミカス・プロのオムニバス・ホラーは、昔テレビでよく放映されていたそうで、レビューとか拝見しているとそういう思い出話がよく出てくるのですが、自分はそういう思い出はありません。カッシングにはまり直してから漁っているクチですので、すべてDVDが初見です。でも、何本か見てみると、なんとなくアミカス作品の個性がわかってきますね。嫌いじゃないです。(笑)

今回の舞台は恐怖が売り物の見せ物小屋。オプションサービス(?)にお金を払った客たちが、自分自身が将来陥る…かもしれない、恐ろしい未来を見せつけられます。客ごとに一つのエピソードになっていて、計四本のエピソード。みんな超自然的落ちで、ホラーというより『世にも奇妙な物語』という感じ。仕方ないことですが、今の目で見ると正直怖さより苦笑が出ます。まあそれを言うのは野暮ですね。(^ ^;)

カッシング以外のキャストで私にわかるのは、見せ物小屋の案内人「ドクター・ディアブロ」役のバージェス・メレディス(私にとっては、『ラブリー・オールドメン』でのジャック・レモンのお父さんのイメージです(笑))客の一人をやったジャック・パランス(この方は『バグダッド・カフェ』の画家のイメージが頭に浮かびます)くらいでした。ピーター・カッシングはジャック・パランスのエピソードに出てくる、祖父の代から続くエドガー・アラン・ポー関連品収集家役でした。名優二人のお見事な競演。エピソードの冒頭をのぞくと、ほぼ二人芝居でした。

パランスのキャラは、カッシング演じる大コレクターと、エドガー・アラン・ポーのファンの集まりで知り合います。カッシングのコレクションに激しく惹かれるんですが…当然ながら売ってくれないんですね(笑)。このへんで一瞬、微妙な緊張感が生まれます。パランスの手から本を取り返すときの、カッシングのかすかな間の取り方…さすがにうまいですね。こういう細かいところが。

ジャック・パランスの粗野な容姿と、いかにもアメリカ人的(?)な…ストレートに売ってくれとか言ってしまうところ…すごく極端に言うと、「金でなんでも手に入れられる」と思ってそうな成金ぽい感じとか、コレクションに心を奪われてわかりやすく目をギラギラさせちゃう田舎モノっぽさと、それをちょっと見下しているような紳士然としたカッシングとの温度差…台詞でほのめかされるわけではないので、純粋に俳優さんの演技によるものですね。こんな話なのに(笑)贅沢です。

パランスはその後、カッシングの自宅を訪ねます。カッシングにどんどん酒を飲ませてコレクションを見せてもらい…(酔わせてどうするつもりぃ~?♪とか虚しい野次を飛ばすバカな腐女子がここに(笑))…ついには地下室にある秘密のコレクションを見せてもらうのですが…。

このオチはもう、今の目で見たら反則というか(笑)、「おいおい」って感じなんですが、ある意味究極のコレクションかもしれません。ラストのパランスのリアクションは、個人的にはちょっと理解しがたかったのですが…うーん、これは見る人によるでしょう。

映画全体のオチはちょっとひねりもあって、うまくまとまってます。パランスはちょっとおいしい役でした。カッシング鑑賞の点でも、感情の起伏の幅が大きく、年代的にも美しい(自分好みの(^ ^;))時期なので、わりと堪能できましたです♪
映画としても…これに限らずアミカス作品て、美術とかチープなんですけど、なんか手仕事特有の密度が画面に感じられて、イマドキの作品にはない魅力があります。

ただ、「残酷の沼」という邦題は謎。「沼」はどこにも出てきませんでした。言葉としても、映像としても。原題は"Torture Garden"。直訳すると拷問の庭、ですよね。これは心理的拷問という意味で文字通りなんですが…どこから沼がきちゃったんだろう?謎です…。


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